18.2.40 神津島の熔岩平頂丘【東京都:神津島村】

めがね使用
18-2-40-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p993。第18章図18.2.40熔岩平頂丘(2.5万図「神津島」より)

伊豆半島南端の石廊崎から東南東へ50km。本文要約。天上山・神戸山をはじめとして洗面器を伏せたような形をした山が5つ。山頂部は小突起や凹地をもつ が大局的には平坦で,急傾斜の山腹斜面との傾斜変換線は明瞭。山腹にはほぼ水平方向に続く露岩が各所に存在。よってこれらの山は熔岩平頂丘。櫛ヶ峰は爆裂 火口で,北東に古い熔岩平頂丘がある。天上山は北と南の双子の熔岩平頂丘で,「南部の方が40mほど低いが,両者の境は南に半円形に開いた急崖で,それを 縁どる円弧状の尾根があるから,南部の山頂部が熔岩の岩体の下降に伴って沈下したのであろう」。「神津沢の源頭部は卵型の遷急線に囲まれ,爆裂火口の可能 性がある」。さらに「これらの熔岩平頂丘は北北西-南南東方向の3列の火山列で,基盤のその方向の引っ張り割れ目を示唆する」としている。なお鈴木氏は単 成火山の熔岩地形として,熔岩流原,楯状火山,熔岩平頂丘,溶岩円頂丘,火山岩尖および潜在円頂丘をあげている。中高校の理科教科書では溶岩円頂丘は出て くるけれども平頂丘は出てこなかったのではないか。熔岩平頂丘の説明。「硬年生のマグマが噴出すると,厚い熔岩流として一方向に流出せずに,火口上または その周囲に盛り上がるように広がり,全体として洗面器を伏せたような,ほぼ平坦で広い頂部をもち,その周囲を急崖や急斜面に囲まれた独立丘を生じる」。な お地質図Naviによれば全島火山岩類で構成され,泥岩や石灰岩などはまったくない。

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