18.2.34 三宅島の1983年熔岩【東京都三宅村】

めがね使用

18-2-34-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p986。第18章図18.2.34割れ目火口からの薄い熔岩流(2.5万図「三宅島」より)

伊豆半島南端から南東へ約80km。三宅島の南西部。図の露岩地帯(露岩と砂礫記号で示される)の大部分が1983年噴火のさいに流出した玄武岩質熔岩の 熔岩流原である(下の写真で黒っぽく見えるところがそれだろう)。以下は本文要約。読図のさいの着眼点は次の6点。@露岩地帯が村営牧場付近から西へ4筋 に分岐して伸びている,A露岩は旧地形の高所を避けて谷沿い(相対的低所)に分布する,B粟辺付近など平滑な緩傾斜地では露岩の起伏は10m内外である, C露岩地帯は旧地形が急傾斜なところでは急傾斜で,緩傾斜部では緩傾斜である,D熔岩流原として熔岩堤防や熔岩シワが見られない。「以上の特徴は,この露 岩地帯が薄くて流動性の高い熔岩流つまり玄武岩質熔岩流の熔岩流原であると解される」。


18-2-34-3D写真図
左はGoogle衛星画像を使用。

(本文要約の続き)一方,E村営牧場南南西の露岩地帯で,高度450mの等高線が直線的で,その等高線から主に西・北西方向に露岩地帯が広がる。これは 450m等高線に沿う割れ目火口噴出を示唆する。なぜなら露岩(=熔岩)がより高く分布する標高490m付近が火口だとすると,高度400〜450m等高 線付近の熔岩流原の傾斜方向が説明できない。なおこの地図では1983年熔岩以外にも新旧多数の火口,マール,スコリア丘と熔岩流原がみられる。本文には 地形・地質の説明図も載っているので左図または左上図と比較されたし。
目次へ戻る          次の図へ