22.0.9攻撃部の基盤崩壊による災害(長野県大鹿村)

めがね使用
22-0-9-3D
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1216。第22章図22.0.9攻撃部の崩落による災害(2.5万図「信濃大河原」より)

長野県南部。小渋川は北へ向かったあと西流して天竜川に注ぐ。図の中央やや左をほぼ南北方向の谷筋(小渋川・青木川)に沿って中央構造線が走る。西側は伊 那山地,東側は南アルプス(赤石山脈)の一角。北部にある下市場の対岸斜面は,1961年に梅雨前線による集中豪雨で発生した大規模崩落跡地。崩落は川を 越えて下市場集落を襲い(死者42人),小規模ながら堰き止め湖も生じた。ここは小渋川の攻撃部で,谷底低地も広くなっているから過去にも大崩落が発生し たと推論される。
 伊那山地からの急勾配小渓流は流域内に崩落地・露岩を持ち,谷口には土石流による沖積錐が発達している。構造線の東側山地には地すべり地形が多く,集落 や水田の発達が見られる。鳶ヶ巣の大崩壊地からは土石流が頻発していると想像される。本文の挿入図には滑落崖(およびその崖頂線)が書き込まれているの で,必見。
 5mメッシュ標高データを使用。構造線西側山地で構造線に規制された,きわめて硬そうな襞のような模様が見事である。

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