22.0.10谷頭における大規模な崩落(山梨県早川町)
めがね使用
22-0-10-3D
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1217。第22章図22.0.10谷頭における大崩落(2.5万図「七面山」より)

山梨県南西部。静岡県境に近い。七面山の山頂小起伏面には,鞍部・凹地・池・多重山稜が発達し,山脈が隆起するときの引っ張り割れ目を想像させる(この図 は5mメッシュ標高データを使用しているので,本文掲載図よりも見やすくなっているはず)。さて山頂からはじまる谷A〜Gの中で,AとGだけに崩落地・急 峻な谷壁が発達するのはなぜか。接峰面図を描いても各谷で傾斜の差異がなく,地質や地質構造が異なるとは考えにくい。ここで河床の遷急点に注目しよう。B には高度880mに顕著な遷急点があり,その上流には下刻が進んでいないのに対して,Aにはそのような遷急点がないため,下刻が上流に及び,谷頭に大規模 崩落が発達したと考えられる。同様に,C〜Fの谷には谷を含む遷急点があるのに対して,G谷には遷急点がない。このようなケースは「22.0.20」でも 認められ,割合に多い事例だという。ただ,なぜ遷急点があるのか(ないのか),そこを説明しないといけないのではないかと思う。

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