22.0.7峡谷の谷壁からの落石(群馬県長野原町,東吾妻町)

めがね使用
22-0-7-3D
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1215。第22章図22.0.7峡谷の谷壁の交通路(2.5万図「長野原」より)

群馬県西部。北東へ流れるのは吾妻川。赤枠中心付近の吾妻峡左岸谷壁斜面の下方に鉄道と道路が並走している。この斜面は「侵蝕前線」が高度 600〜700mに遷急線としてあり,その直下に「がけ(岩)」の急崖が発達し,その上下の急斜面に露岩が密集している(左図では確認しづらい)。このよ うな露岩の多い「比高100mを越える急斜面の上部から巨岩塊が落下すれば,跳躍して落石防止擁壁を飛び越える可能性がある」。「このような地形場で落石 災害を完全に防止するには,鉄道も道路もトンネルに取り替えるしかない。幸いにも,この区間の鉄道と道路は,八ッ場ダム建設が予定されているので,数年後 に放棄され,別線となる」。民主党政権下で一度止まったダム工事だが,群馬県HPによれば,用地取得・家屋移転・代替地造成・鉄道や国道県道の付け替えを 含めて,ダム事業進捗率は2013年末で83%だそうだ。新しい地図では国道145号が長いトンネルになっているのが確認できる(左の地図ではまだ)。

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