22.0.5-6岩石海岸の落石災害(福井県越前町)
めがね使用
22-0-6-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1214。第22章図22.0.5海蝕崖基部の道路における災害,図22.0.6左図の海岸道路の改修状態(2.5万図「梅浦」より)

福井県北部。海は日本海。越前岬からその南東方の玉川にかけて。比高30〜60mの海蝕崖には「がけ(岩)」がほぼ連続的に発達し,波蝕台の幅は狭いが多 くの隠顕岩がある。@隠顕岩の伸張方向は東西方向が多いこと,A北部山地は北傾斜のケスタ地形となっていること(ただし赤枠内であろう),B梨子ヶ平の水 田・小凹凸型の地すべり地形の発達,以上を論拠に「この岩石海岸は成層岩(中硬岩)で構成され,その走向は越前岬付近から北部では東北東−西南西,それよ り南部で東西方向から西北西−東南東に変わり,傾斜は北落ちであると推論される」という。いつものように”おみそれしました”と引き下がるしかない。
 玉川から越前岬方面への道路は,玉川トンネルで海蝕崖を避けているが,かつては海蝕崖の基部を海岸線に沿って伸びていた。1989年に○印地点で巨岩塊 が崩落して落石覆工が倒壊し,そこを通過中の自動車で人が亡くなるという事故があり,その後に改修されたものという。改修後は「落石覆工(越前岬南方), 落石防止擁壁工,海岸護岸(越前岬から北方)などが整備され,海蝕崖基部との間に遊石地も設けられ」た。しかし,それでも落石災害が再発する可能性がある としている。地質学的時間では急崖はいつかは必ず崩れるもので,いつ崩れてもおかしくない崖が日本全国いたるところに存在しているであろう。

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