220.35狩野川沿いの堆積低地(静岡県伊豆の国市,清水町ほか)

22-0-35-補
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1231。図22.0.35狩野川ぞいの谷底堆積低地。5mメッシュ標高データを もとにカシミール3Dで着色。

静岡県東部,伊豆半島の付け根部分の西部。1958年9月の狩野川台風による狩野川の氾濫状況図,同じく氾濫堆積土砂の厚さ分布図を,明43修測の5万図 「沼津町」で表現されている微地形(自然堤防,後背低地,流路跡地など)から説明することを試みている。@修善寺から白山堂までの「急勾配で幅の狭い谷底 低地では,流路の両岸」で破堤,溢流しているのに対し,その下流の幅広い谷底低地では蛇行流路の攻撃部で破堤,溢流があること。A狭い谷底低地(急勾配) では氾濫水は谷底低地の最大勾配方向に流れたが,広い谷底平野では氾濫水は等高線に調和的ではなく微地形に支配されていること。BC省略。D堆積土砂は自 然堤防でとくに厚い。大規模な出水では自然堤防は冠水し,そこでの流速も大きいこと。
災害後,農地整備,排水路整備,道路の盛土堤工事・水田盛土などが行われ,当時の地形が現在の地図や標高データで表現されないので,ここでは他の項目のよ うな地図の3D化はしないでおく。書籍に掲載されている5万図では全体的な地形がつかみにくいので,狩野川下流部の全貌がわかるようにと段彩図を示した。 掲載図と原稿地図を比べてすぐ目につくのは,狩野川の河道の直線化と駿河湾への放水路である。なおこの台風で湯ヶ島の総雨量は750mmを超え,半島の各 地で山崩れが発生,狩野川流域だけで、破堤15箇所、欠壊7箇所、氾濫面積3,000ha、死者・行方不明者853名に上ったという。
(左図「修禅寺」は「修善寺」の間違い)

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