22.0.23十津川水害(1889年)の崩落地跡(奈良県十津川村)

めがね使用
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鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)。第4巻p1233。第22章図22.0.23「多数の天然ダムを生じた集中豪雨による崩落地群」(図22.0.22)の現況(2.5万図「風屋」より。ただし本文掲載図は5万図「釈迦ヶ岳」から)

奈良県南部。十津川は下流で熊野川となる。1889年の十津川災害(集中豪雨,地すべり,崩落,土石流,堰止め湖の決壊)の20年後に発行された(旧版) 5万図〈明44測〉を用いて,山間部の崩落地を確認し,その現在の様子を〈昭44編〉5万図で説明している。風屋ダムの「貯水池右岸の斜面には,十津川災 害のときの崩落地がまだ残存しているが,かなり縮小し,植生回復も進んでいる。一方,当時の崩壊地が現在までに拡大している場合(例:池穴と峯之越の対 岸)もある。(中略)十津川災害の時に崩落しなかった斜面も風化などにより不安定化が進行しているであろう。よってこの流域では今後も崩落による天然ダム の形成や大規模な土石流の貯水池への突入が起こる可能性がある」。2011年9月の台風12号(15号も)の豪雨で,このことが現実となってしまったこと は記憶に新しい。それまで耳馴れなかった深層崩壊ということばもこのとき繰り返し使用されたので,一般に定着したように思う。

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