20.0.29 河川の狭窄部(5)熔岩流原の閉塞【山口県山口市】

めがね使用
20-0-29-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1187。第20章図20.0.29熔岩流原で閉塞された狭窄部(2.5万図「大原湖」より)

山口県中央からやや東より。佐波川ダムが位置する狭窄部。その左岸側長者ヶ原は「緩傾斜な頂部をもつ高台であり,滑らかな凸形尾根型斜面の急崖に囲まれて いる」。そして「頂部の北縁に南に開いた馬蹄形の尾根がある」ことなどから,「長者ヶ原は極厚の熔岩流原で,その頂部の馬蹄形の尾根は火山砕屑丘であると 解される」。すぐ北にある2つの小凹地は火口で,その東は閉塞でできた平坦地(台地状)であろうという。下野谷と屋敷西方に河成段丘があり,かつ佐波川発 電所から下流は谷底幅が広いことから,佐波川はかつて広い谷底低地を形成しており,それが熔岩流で堰止められ,その後,狭窄部の下刻によって堰止湖は消滅 したと考えられる。なお図の西部の中村付近から北東へ,ゆずりは隧道の鞍部,大原湖西岸の鞍部を経て直線的な湖岸線に続くリニアメントは,右横ずれ断層を 示すものとしている。
 20万地質図では,ダムより上流はおもに白亜紀流紋岩,下流は白亜紀花崗岩,長者ヶ原は更新世の安山岩〜デイサイトとなっており,断層は大原湖断層と記載されている。


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