20.0.23 長福山の放射状尾根【茨城県大子町】

めがね使用
20-0-23-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1182。第20章図20.0.23放射状尾根をもつ山地(2.5万図「大中宿」より)

茨城県北部。阿武隈山地の南西部へりに近いところ。図の西端で蛇行しながら南へ流れるのは久慈川。結論だけ抜き出すと,男体山以東の山地は「高度500m 内外の小起伏面であり,長福山より高く,古い火砕流台地のようである」。「長福山より低い丘陵は堆積岩で構成され,長福山はその上に生じた古い火山の暴露 地形であり,それに影響されて放射状の水系と尾根群が発達したと解される」。地形からだけで簡単に「火砕流台地のようである」といえるだろうか。鈴木氏は 男体山周辺の露岩記号から3〜5段の地層階段を想定し,それを根拠にされているようだ。20万分1地質図幅では,男体山以東の小起伏山地は中新世の「デイ サイトおよび安山岩火山角礫岩」,中央部から西の低い丘陵部はおもにその下位に来る「礫岩・砂岩・泥岩」など(一部は玄武岩溶岩)となっている。小縮尺の 地質図では,古い火山の暴露地形とよむことはできないが,放射状尾根や東側の欠けた火口のように見えるやせ尾根は,「暴露された火山」がしっくりくる地形 ではある。


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