20.0.19  屋久島の海成段丘【鹿児島県屋久島町】

めがね使用
20-0-19-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1179。第20章図20.0.19傾斜波蝕面起源のような海成段丘群(2.5万図「粟生」より)

屋久島の南部。以下引用。「海岸には比高30m内外の海蝕崖の露岩,幅の狭い波蝕棚,多くの離れ島と岩礁がある。それらの海岸線は北北東-南南西方向に伸 びる傾向があるので,その方向の走向をもつ急傾斜の中硬岩層が分布している可能性が高い。中硬岩では傾斜波蝕棚は形成され難いから,この緩傾斜な段丘面は 比高の低い数段の海成段丘面群として形成されたが,段丘崖が扇状地堆積物に被覆されて不明瞭になったと解される。いくつかの小突起(例:三角点 130.2)は過去の離れ島であろう」。素人目でこの段丘地形だけ見ていると(後背山地を考慮せずに),地すべり堆や溶岩台地・火砕流台地の形状(図 20.0.14,図20.0.15,図20.0.17)と差がないように思えてしまう。この段丘は,河成段丘とはかなり違うものということがよくわかっ た。なお本文は,前半で山地部分(中新世花崗岩)を解説しているのでぜひ参照されたし。海岸付近は始新世〜漸新世の砂岩泥岩互層(付加コンプレックス)で できている。別途掲げる示す地形図と地質図を比べられたい。


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