20.0.12 蓑山西面の地すべり【埼玉県皆野町,秩父市】

めがね使用
20-0-12-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1174。第20章図20.0.12河成段丘と誤認された地すべり堆(2.5万図「皆野」より)


埼玉県西部。北流する河川は荒川。図のA(3地点)は「段丘面に舌状に突出する緩傾斜な尾根」であるが,「2.5万地形図も持たずに,闇雲に現地踏査する と」「段丘と誤認しやすい」。実は,この高台状の「尾根を上方に追跡すると,浅い谷の谷底に連なる。よって,これら3本の尾根は地すべり堆である」。実際 に誤認して掘削工事を始めたところ,地すべりが発生したという。
 そもそも蓑山一帯が地すべり地形に囲まれているといってもよいらしい。「山腹斜面には深い侵蝕谷が少なく,水系図を描くのが困難なほど等高線が不規則に 屈曲している。つまり,山腹斜面の大部分は小凹凸型の地すべりで変形している」という。なお,B地点南西の2本の弧状崖は造成による地すべり堆の切土に起 因する地すべりの滑落崖であろうとし,美の山トンネルの坑口と地すべりとの関係についても言及している。

目次へ戻る
次の番号の図へ