19.3.4 新潟の活背斜尾根と活向斜谷【新潟県小千谷市】

めがね使用
19-3-4-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1148。第19章図19.3.4活背斜尾根と活向斜谷(2.5万図「片貝」より)

 比高の小さな地域なので高さを2倍に誇張してある。また5mメッシュ標高データを使用。新潟県中部。図のすぐ東側を信濃川が北流している。小粟田原(図 を東西南北に4等分したときの南東部)は信濃川の形成した河岸段丘面(中位)で,最大傾斜方向は信濃川の下流方向(北)ではなく北西であること,北部は沼 田付近で現成低地の下に埋没することが特徴。ところが小粟田原に連続する地形面は片貝町や鴻巣町では東方に傾斜するから,高速道路の通る付近の「浅い谷」 は活向斜谷であろう。
 八島から北方に続く集落のすぐ西の斜面は,上方ほど緩傾斜となる凸型直線斜面(第1巻p122)で,同様な斜面は片貝町や鴻巣町の西方にも見られる。図 の西半分(南の越路原〜北の朝日原)は信濃川の形成した高位段丘面であろうが,等高線の配置からみると東西方向の断面では上に凸な尾根状であり,多数の油 井記号がある。この尾根線は基盤の背斜軸に一致するので,活背斜軸であろう。
 この活背斜尾根と東方の凸型直線斜面の間には,これらに並走する直線的な細長い谷が数列あり,これらは活褶曲に伴う断層谷と考えられる。
 以上は本文の要約。渡辺秀男(2007)によれば,段丘面のローム層の分布状況から,越路原の東半分は小粟田原と同一の段丘面であり,面形成後の褶曲運 動によって西側は比高100m以上も持ち上げられたという。これはすごいことだ,と思ったが,10万年で100mというのは単純平均で年1mmの変動だか ら,日本ではありふれている??
※渡辺秀男(2007)新潟県越後平野南西部の河成段丘の編年と構造運動,地球科学,61;129-142。
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