19.2.73 若狭湾南岸のリニアメント【京都府,福井県:舞鶴市,高浜町】

めがね使用
19-2-73-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1138。第19章図19.2.73堆積岩で構成される山地のリニアメント(2.5万図「東舞鶴」より)

中国山地の東端。京都府と福井県の県境。図の上部にある鉄道トンネルの4km北方は内浦湾(若狭湾の一部)になる。地形的なリニアメント13本が別図に示 されている。このリニアメントに沿うオフセット,低断層崖,三角末端面などは認められず,ごく一部を除きケスタのような差別削剥地形もない。よってリニア メントは断層削剥地形であると推論される。と,ここまでは定番どおりであるが,このあと5万分1地質図に記載される断層と照合して一致度が悪いことについ て考察している。
@位置は一致しなくても,走向はほぼ一致(北東-南西,東北東-西南西,北西-南東)。Aリニアメントと断層が並行接近していることがある。Bリニアメン トの少ない地域は断層も少ない。C中央やや下を東北東-西南西に伸びる尾根は(両側の谷がリニアメント)北面が緩傾斜なケスタ地形だが,地質図ではほぼリ ニアメント沿いの断層の両側が別の地層で構成されるとしている。D図北部の吉坂トンネルと青葉隧道はリニアメントを避けた位置に建設されている。(詳しく は本文参照)
「以上のことから,リニアメントは必ずしも地質学的に重要な断層とは一致しないが,大局的な地質構造を良く反映していると考えられる」。地質図にかなりの 信頼を寄せた文章だが,地質図にときどき「苦しまぎれの断層」がしのびこんでいることはないだろうか。リニアメントを都合よく断層として記載していないだ ろうか。そこまでは書けないか。

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