19.2.59 阿武隈山地の断層線崖【福島県:矢祭町】

めがね使用
19-2-59-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1124。第19章図19.2.59断層線崖(2.5万図「東館」より)

福島県南東部。というより最南端といったほうがよい。本文掲載の地図からでは,「断層線崖」の東と西でこんなにも高度が違うことが読みとれなかった。高野 谷地は谷地どころか”高野台地”である。山容も東西で様変わり。地図読図能力の未熟を反省するとともに,今更だが3D地図の威力に感じ入る。著者はまず南 北方向の比高100〜150mの急崖東方の小起伏地の地形的特徴を述べ,「小起伏地が準平原に近づいた侵蝕階梯まで削剥された後に隆起し,その際に接峰面 で示される高度分布になるように僅かに変位(傾動)したことを示唆する」とする。さらに西部の丘陵は頂部に小起伏面を伴わず高度も低い上に必従谷に刻まれ た晩壮年期的な侵蝕階梯にあり,この丘陵と南北方向急崖との間の相対的低地は,沖積錐,扇状地,島状丘陵からなるとする。まとめとして@急崖は断層線崖 (延長からみて大規模断層),A東方の小起伏山地は強抵抗性岩,B西方丘陵は成層岩で東傾斜,などの推論を行っている。20万分の1地質図「白石」 (2007)によれば,断層の両側とも白亜紀花崗岩である(東は黒雲母,西は白雲母黒雲母。大きな違いはなさそう)。
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