19.2.55 高原山北部の断層群【栃木県:那須塩原市】

めがね使用
19-2-55-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1120。第19章図19.2.55複雑な形成過程の断層群と断裂帯(2.5万図「塩原」より

栃木県北部。那須岳と男体山の中間にある高原山の北面といってよいだろう。図の南端の前黒山は成層火山。中央の富士山は熔岩円頂丘。八郎ヶ原牧場や柏木平 は熔岩流原。富士山周辺とそのすぐ南方には,西北西ー東南東方向に顕著な凹地・鞍部・池沼を連ねる谷地形が何列にもわたって発達している。鈴木氏は断層谷 とみなし(根拠は本文参照),11本の断層変位地形に対しA〜Kの名称を付し,それぞれ逆断層,逆向き正断層,高角の正断層などに分類している。さらに 「広域に読図すると,この地域はカルデラ内部に位置している。前黒山はそのカルデラの南縁に生じ,火山体の北半部がカルデラ湖に堆積した軟弱な湖成層の上 に重なったため,火山体北部はその荷重で傾動的に沈下し,それに押されて北麓の熔岩流原の下に潜り込むような逆断層が生じたという可能性がある」と,解説 断面図つきで述べている。これもすごいことである故,ぜひ本文にあたられたし。

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