19.2.53 丹那断層の共役断層系【静岡県:函南町】

めがね使用
19-2-53-5mx2-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1118。第19章図19.2.53共役断層系(2.5万図「熱海」より)

5mメッシュ標高データを用い,高さ方向を他の画像より2倍に誇張してある。

静岡県東部。図の右上は神奈川県,図の右端の十国峠以東は熱海市。田代のある小盆地の西縁をつくる南北方向の急崖は断層地形。この付近はかつて東から西へ 低下する一連の古い火山斜面で,「断層運動によって,西側に対して東側が相対的に沈下し,そのため田代盆地が断層角盆地として形成された」。この断層は 1930年北伊豆地震のさいに動き,掘削中の丹那トンネル(田代の南方2.4kmを東西に走る)を左横ずれ断層が横切り(切断し),2.7mものずれを生 じた。左図の中には「断層突起を伴う断層鞍部列,接頭直線谷,凹地,河川・尾根・主分水界のオフセットから推定される多数の横ずれ断層がある」として,解 説図には6本の左横ずれ断層と,4本の右横ずれ断層を示し,両者は共役断層系てあるとする。
19-2-53段彩図
本文図中,東から西へ流れてこの断層を横切る小河川7本の横ずれ変位について詳細解説図があるが, 細かすぎて(?)にわかには信じがたい。ここでは久野久が指摘したという2本の河川についてのみ,左図に示す。G沢は現在@へ,I沢は現在Aへ流れていく が,もともとはGはG'に,IはI'に流れていたと考える。左横ずれの累積変位量は約400mである。
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