18.3.24 金時山北面の斜流谷【静岡県:小山町】

めがね使用
18-3-24-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1051。第18章図18.3.24火山斜面の斜流谷(2.5万図「駿河小山」「御殿場」「山北」「関本」より)

静岡県の東端。図の南端の金時山から北へ伸びる稜線が神奈川県との境界。金時山は箱根火山の外輪山。その北西斜面で,C-C’とD-D’の水系は接峰面等 高線と斜交している(斜流谷)。その他の水系は必従谷である。この斜交谷の生じた原因について著者は大胆な推理を行っている。詳しくは本文参照。箱根火山 の全体図18.3.23(p1050)がないと理解しにくいのだが,結論だけ略記する。CおよびDの谷付近はかつて東北東―西南西方向の等高線をもつ北北 西傾斜の斜面だった(だから必従谷はC,Dのように北北西に流下)。その後「基盤山地が緩慢に隆起し,箱根火山はその自重のために居座ったため,箱根火山 の北部の裾野がまくれ上がって」北方へ突出する尾根状となり,CおよびDの谷付近は西傾斜の斜面となった。この隆起・傾動による相対的変位は最大500m に達したという。ここまで言っていいのかという感じがするが,著者は現地で見つけた「証拠」を記している。

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