18.2.53 山頂に凹地がない開聞岳【鹿児島県:指宿市】

めがね使用
18-2-53-3D図k
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1007。第18章図18.2.53熔岩円頂丘で火口を埋没された単純な成層火山

鹿児島県は薩摩半島の南端。「薩摩富士」とも呼ばれる美しい円錐形の形をしているが,鈴木氏の手にかかると「しかし,高度600〜680mの間が緩傾斜で あり,山頂部には急傾斜で露岩に囲まれた円頂丘があり,山頂に凹地がない。よって,山頂部の円頂丘は成層火山の山頂火口内に生じた熔岩円頂丘であり,それ に伴う崖錐とともに旧火口を完全に埋めたものと解される」。富士山のミニチュア版を考えて,だから山頂火口も小さいのだな,と想像していたが,そうではな いのだ。2.5万地図から読みとると,開聞岳の山頂西直下高度800〜900mの間の平均傾斜角は45度であり,本物の富士山の頂上東直下高度 3600〜3700mの間の平均傾斜角は32度である。こんなに違っていたのかと目をみはる思いである。やはり2つは形も異なる(=開聞岳は富士のミニ チュアではない)し,成因が違うのだと見るべきなのだ。

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