17.0.11    宗谷丘陵の周氷河性波状地    北海道    稚内市

めがね使用
17-0-11-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p941。第17章図17.0.11周氷河斜面と後氷期の開析谷(2.5万図「宗谷」より)

日本の最北端宗谷岬は,図の丸山の北方4kmに位置する。見てのとおりの丘陵地帯。以下は小泉武栄『山の自然学』(岩波新書)による。「氷河時代の寒冷な 気候のもと,基盤岩の突出部は凍結破砕作用によって岩石が砕かれて高度を下げ,一方,生じた岩石の破片が谷筋を埋めることによって,ゆるやかに起伏する地 形ができあがった。この地形を”周氷河性波状地”とよび,現在ではそこに川が侵食してつくったV字型の谷がいくつも入り込んで,いわゆる幼年期地形の様相 をしめしている」「ここの地形は1960年頃,ドイツ留学から帰ったばかりの鈴木秀夫先生が発見したもので,中部ドイツやポーランドあたりの地形を彷彿と させるものである」「ここはわたしたちのような自然史を研究している者にとっては一種の聖地のようなところになっている」。ここからは鈴木隆介氏の本文解 説「このように滑らかで波状の丘陵は周氷河過程で削剥されたと解され,周氷河波状地ともよばれる。しかし,この種の低谷密度で滑らかな丘陵は高透水性の岩 石で構成されている場合にも生じることがあるので,形態的特徴だけを論拠に周氷河地形と即断するのは危険である」。いつになく慎重だ。また東西方向の谷で は北面斜面が急傾斜,南北方向の谷では東面斜面が急傾斜として,その原因についてもふれているが,左上図ではさほど顕著ではないように見える。<
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