13.2.5 多度山付近の対接峰面異常河系【三重県:桑名市】

めがね使用
13-2-5-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p735。第13章図13.2.5斜流谷、並流谷および頂流谷(2.5万図「弥富」より)


桑名市の北部で養老山地の南端にあたる。養老山地の東面は急傾斜な断層崖で、山麓には土石流による堆積がみとめられる。西および南面は緩傾斜で山頂小起伏 面が発達する。「河川は大局的には、地表の大まかな高低を示す接峰面に対して、その最大傾斜方向に流れ」るのが一般的性質として、これに反した流れには、 @斜流谷(接峰面等高線と著しく斜交して流れる)、A並流谷(同等高線にほぼ並行して流れる)、B逆流谷、C横谷、D天秤谷、E縦谷、F頂流谷(接峰面の 尾根にそって流れる)などの名称がつけられている。左図で斜流谷、並流谷、頂流谷はどこに認められるか。本文にていねいな解説図が載っているので、ここで は文章だけで示そう。

 (1)斜流谷は、西谷川上流部(左俣-仮称)の南東へ流れる区間と、多度神社付近へ流れ出る渓流の上流部でやはり南東へ流れる区間。(2)並 流谷は、狼谷川の下流部で八壺渓谷となっているところとその上流部の同方向区間、多度山の北西493標高点のすぐ東を流れる浅い渓流の北へ向かう区間(ほ ぼ高度350m以上の部分と一致)。(3)頂流谷は、多度山頂上のすぐ南から南東へそして東へ流れる小渓流の、ほぼ高度100m以上の区間。なお断層崖に 近いところでは非対称谷となっていることにも言及がある。

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