13.2.18 広島県中部の谷中分水界【広島県:安芸高田市】

めがね使用
13-2-18-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p745。第13章図13.2.18逆流型と差別侵蝕型の谷中分水嶺(2.5万図「安芸吉田」より)

中国山地の瀬戸内海より、といえばいいのだろうか。広島県の中央部で、図のJR線は芸備線。赤枠の中央付近に、北流する戸島川と西流する三篠川の分水界が ある。ここは戸島川の谷底平野から続く一連の平坦地で、いわゆる谷中分水界となっている。戸島川は江の川にそそぎ、三篠川は太田川の支流だから、ここは日 本海と瀬戸内海の分水界になるのだろう。以下引用。「戸島川は谷底低地幅に比べて水面幅の小さい過小河川であるから、過去には三篠川が平沖から北流し、戸 島川の上流をなしていた可能性が強い。しかし、それを証明するには、広範囲の読図が必要である」。鈴木氏は河谷の中流部が相対的に隆起し、天秤谷が形成さ れ、上流部が過去の上流側へ逆流した「逆流型の谷中分水嶺」に分類する。また「図東部の大土川谷頭の標高点361および図西部の高獄山南東の鞍部はともに 接頭直線谷の鞍部であり、差別侵蝕型の古い谷中分水嶺である」とも注記している。地図上で江の川の川筋を源流から河口までたどってみると、南東へ、北東 へ、北西へ、そして南西・西へと、ぐるり一回転するような大変面白い流れ方をしているのだった。
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