13.2.10 岩木川の河川争奪【青森県:西目屋村】

めがね使用13-2-10-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p738。第13章図13.2.10河川争奪の直後と直前の地形(2.5万図「陸奥田代」より)

岩木山の南約9km。誰が見てもすぐにわかる河川争奪である。以下本文から引用。「岩木川支流の郷坂沢川は下大秋の南で転向異常を示す。その転向点より上 流は、かつては大秋川に合流していたが、岩木川の支流の谷頭侵蝕によって争奪された。郷坂沢川上流の谷底低地は、頭部侵蝕によって下刻されつつあるが(2 個の滝に注意)、転向点の西の段丘面(果樹園あり)および下大秋の谷底低地に連続している。転向点に左岸から合流するガリーの谷頭はすでに大秋川の谷底低 地に入り込んでいる。その頭部侵蝕が150mも進めば、大秋川も直ぐに争奪されるであろう、郷坂沢川の下流部は、争奪河川になったため、岩木川左岸の他の 支流に比べて著しく深い峡谷を形成している。」

  本文に掲載されている図(多くは2.5万図)の区画(ここでは赤枠範囲)について、いつも過不足がないことを評価しているが、この図でも争 奪箇所を中心にしながら、しっかり「岩木川」「大秋川」などの地名が入るように図の範囲を決めている。まさに名人芸である。
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