13.1.22 高瀬川の直線谷【長野県:大町市】


めがね使用
13-1-22 3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』第3巻p709。第13章図13.1.22直線谷(縦谷)と穿入蛇行谷(横谷)(2.5万図「烏帽子岳」より)

本文挿図では5万分1「槍ヶ岳」を使用しているが、左図は2.5万図から作成した。サイズ合わせで縮小度が高いため地名が読みにくくなっている部分は、挿 図と照合していただきたい。さて北アルプスの玄関口ともいえる地域である。中央を北流する高瀬川は、(北延長部の)支流不動沢もふくめて一直線をなしてい る。本文では「(高瀬川のように)急峻で深い河谷で、しかも延長の長い直線谷は成因的には断層破砕帯の差別侵蝕で形成された断層線谷※であると解される」 とする。web公開地質図をみると、直線谷の両側とも花崗岩で、新版長野県地質図ver.1では大まかに左岸を古第三紀、右岸を白亜紀などとし、日本シー ムレス地質図ではほぼ両岸ともに後期白亜紀花崗岩としている(谷に沿って断層を想定しているのは同じ)。花崗岩どうしだからか、地形的にもあまり差がない ように見える。断層は活断層図に載っていないので古いのだろうか。それにしても一見して誰もが気づくみごとな直線谷である。
  ※断層谷と断層線谷の違いは本文p.708をどうぞ。
  以下も本文を引き写す。「不動沢合流点から下流の高瀬川は穿入蛇行しつつ、山脈を横断している。このように山脈を横断する河谷を横谷(おう こく)とよび、山脈と山脈のあ間を走る谷を縦谷(じゅうこく)とよぶ。横谷は穿入蛇行で、縦谷は直線谷の場合が多い」.。
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