11.3.5 対応する河成段丘のない海成段丘【北海道:松前町】

めがね使用11-3-5-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』第3巻p629。第11章図11.3.5海成段丘に対応する河成段丘が発達しない地域(2.5万図「江良」より)


北海道日本海側の最南端に近いところ。標高20〜50mおよび60(80)〜110mの2段の海成段丘が認められる。これら海成段丘を分断している2本の 河川には河成段丘が全く発達していない。2つの河川の河口部を除いて波蝕棚とがけ(岩)記号がある。このことから、基盤岩石が中硬岩で海成侵蝕段丘は発達 したが、河川が小さく急勾配なため氷期に深い河谷を形成しても側刻しなかった、その河谷が後氷期に沈水して谷底堆積低地が形成された、と推定している。図 11.3.4のように海成段丘と河成段丘が連続していない。段丘の有無は地形場と基盤岩石の物性に左右されるとする。なお図の南東部には旧汀線高度 240mと310mの段丘面群が断片的に発達していると書かれているが、挿図および左図ではよくわからない。

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