11.2.30 信濃川の早瀬切断段丘【新潟県:小千谷市】

めがね使用11-2-30-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』第3巻p621。第11章図11.2.30穿入蛇行の早瀬切断段丘(2.5万図「小千谷」より)


信濃川がいちちじるしく穿入蛇行している地区。本文ではまず生育蛇行段丘として川井付近・卯ノ木・牛ヶ島・上村付近などをあげ、早瀬切断が川井新田付近・ 牛ヶ島の西で進行中、塩殿の段丘では学校のある旧中州が早瀬切断によって段丘化したもの、牛ヶ島対岸の道路の走る低く細長い段丘も早瀬切断段丘、などとし ている。また北東部を円弧を描いて流れる石田川と貝之沢を円弧上に横切る小渓流は三角点161.5の段丘を蛇行核とした蛇行切断による流路跡地の名残川だ ろうという。おおむね理解できるが、塩殿付近については次の等高線図を参照されたい。

11-2-30-段彩図(1)
5mメッシュ(標高)データによる2mごとの等高線図(下も同じ)。赤 数字は標高(m)。学校のある高台(本文でいう旧中州)とまわりの「名残川」部低地との比高が10m以上あることと、名残川(当然信濃川の本流だった時期 があるだろう)の川幅が200m程度しかないことが気にかかる。比高が半分の5mで川幅が2倍の400mなら早瀬切断も納得できるのだが。また学校のある 高台のまわり北・北西・南西が急崖になっているのも気になる(人の手によるものか?)。早瀬切断はかように起こるのか。図の西から流れてくる沢(名前の記 載なし)が谷底平野をつくっていたという解釈はどうなのか。

11-2-30-段彩図(2)
本文挿図の右下隅から東へ続く部分。赤数字は標高(m)。かつて籠瀬良 明氏が旧自然堤防が段丘化した地形として紹介し、その狭い段丘面の山側傾斜を巧みに利用した水田の用排水に注目した場所である。いくつかの段丘の山側傾斜 が等高線図に表れている。鈴木氏の読図入門ではとくに触れられていないが、早瀬切断段丘ということになるだろう。
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