20.0.10 滑落崖かカルデラ壁か【秋田県鹿角市】

めがね使用
20-0-10-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第4巻p1171。第20章図20.0.10急崖下の小突起群と小凹地群(2.5万図「八幡平」より)

秋田県西部。奥羽山脈の真っただ中。図南東部の緩斜面は八幡平(疑似楯状火山)に続く火山原面。古い地質図では,菰ノ森(こものもり)西方の凹地を火口, それを囲むような大きな急崖をカルデラ壁,としていたが,地すべりによる凹地(全体凹凸型地すべり)と,大規模地すべりの滑落崖である(地形学的根拠はこ こでは割愛。本文参照。挿図にならって左図に崖頂線を記入してある)。なお八幡平スキー場を含む山毛森(ぶなもり)の山塊は,大深温泉の東から南に湾入状 に連なる急斜面を滑落崖とする,その後に生じた地すべり(西へ500m滑動)の地すべり堆であろう。温泉・地熱発電所・泥火山(後生掛温泉の南)からみ て,これらの地すべりは基盤岩石の著しい熱水変質に起因するものと解される。山毛森が移動地塊としたら,現在安定度はどれくらいと考えられるのだろう。地 すべり堆以外の解釈はないのか。ちなみに防災科技研の地すべり地形分布図では,大深温泉の東〜南に滑落崖は記入されていない。なお細かいことだが,滑落崖 があるとして,その位置はもう少し南東寄りに(標高の高いところに)想定すべきだと思う。珍しく鈴木氏が読み違えたのか,書き間違えたのか。

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