16.0.64 濁河川(にごりごかわ)の地形逆転【岐阜県:下呂市】

めがね使用
16-0-64-3D
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p928。第16章図16.0.64熔岩流の定着による地形の逆転(2.5万図「飛騨小坂」より)

岐阜県東部。長野県境の御嶽山から西北西へ約12kmの地点。濁河川と椹(さわら)谷に沿って”河岸段丘”が発達。”段丘面”はほぼ平坦であるが,標高点 969,870,821付近には小さな高まりがあり,横断形は中央部がやや高いゆるい凸型。また局所的に椹谷の上流へ逆傾斜しているが,さらに上流には連 続していない。”段丘崖”には比高50〜80mの露岩が連続的に発達し,その対岸の谷壁斜面は露岩が散在的である。以上から,「”段丘面”は濁河川の上流 から流下した厚さ約100m(論拠:高い岩壁の比高)の熔岩流の定着面であり,・・・・濁河川と椹谷が必従的に下刻して,地形の逆転を生じたとされる」。 なお下島温泉のすぐ上流には貫通丘陵がある。

めがね使用
16-0-64-ho
この溶岩流の上流部についても,上の図と同様の縮尺で立体図を作成して みた。溶岩流は濁河川ではなく兵衛谷から流下したことが分かる。一つの熔岩流の末端部とおぼしき舌状の地形も見える(上の図でも3ヶ所は分かる)。この図 東端から2kmあまり東に行けば少年の家や濁河温泉がある。鈴木氏はこの項の最後で,この地域の山地は非成層の硬岩であろうと推定したうえで,「この熔岩 流台地は,濁河川や椹谷に側刻されて消滅し,地形の逆転はいずれ消失するであろう」としている。地質図Naviでは濃飛流紋岩(白亜紀後期か)の谷を新期 安山岩溶岩(草木谷火山噴出物というらしい)が埋めている格好のようだ。

ホームページへ戻る          次の番号の図へ