16.0.61 高隅山のホルンフェルス尾根【鹿児島県:垂水市,鹿屋市】

めがね使用
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鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p925。第16章図16.0.61深成岩体を囲むホルンフェルス尾根(2.5万図「上祓川」より)

大隅半島の北西部。桜島の南東約20km。大箆柄(おおのがら)岳〜高隅山〜平岳・横岳の尾根は半環状。この尾根の西(北西)は「接峰面的には緩傾斜な小 起伏地で,浅くて短い谷の多い硬谷密度の山地」。自動車道の切土に「がけ(土)」が連続するが,「がけ(岩)」は大きな沢の谷底にだけ存在する。「よって この小起伏地の表層部(厚さ20m内外?)は低透水性の軟岩で構成されていると考えられる」。一方,半環状尾根は傾斜や谷密度で内側と外側が非対称であ る。外側斜面の支尾根には,鞍部・遷緩点・並流谷的な谷が,半環状尾根に並走して環状に配列する(具体例は本文参照)。「以上の事柄から,半環状尾根の内 側の小起伏山地は深成岩で構成され,半環状尾根はその深成岩体を囲むホルンフェルス尾根であり,・・・・その外側の山地は非変成ないし弱変成の硬岩で構成 されている,と解される」。本文には模式断面図付きで差別削剥地形発達についての解説がある。いつものようにすばらしい推理だ。地質図Naviでは,環状 尾根の内側は中新世の高隅山花崗岩,尾根部は四万十層群の接触変成部,図南端の緩斜地は阿多火山・姶良火山の熔結凝灰岩や軽石層としている。

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