16.0.55 低所をつくる蛇紋岩【北海道:松前町】

めがね使用
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鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p919。第16章図16.0.55相対的低所をつくる蛇紋岩分布地(2.5万図「江良」より)

渡島半島の南端をなす松前半島の西部。図の中央やや北寄りにある,白っぽく見える(=等高線間隔の広い)盆地状低所は,少凹凸型地すべり地形であり,低谷 密度尾で,平滑な緩傾斜面。ここを横断して西流する大鴨津川は,ここで谷底幅が狭く,地すべりのため北へ偏流し,北側の地すべり地形の末端を側刻してい る。この低所の周囲は,明瞭な遷緩線を境として,高度350〜500mの山頂小起伏面をもつ山地が広がっている。この山地は急傾斜,大起伏,明瞭な谷線か らみて,強度の大きな低透水性の岩石で構成されているであろう。小盆地状の低所をつくる岩石は蛇紋岩と推測される。以上が本文要約。地質図Naviによる と(20万分1),一帯は古生代〜中生代の松前層群(粘板岩など)が広く分布し,この低所は新第三紀中新世前期のの玄武岩,安山岩としている。蛇紋岩はこ の低所のすぐ西(御三流の北面)に僅かに分布するにすぎないようだ。特徴的な地形であり地すべり地形のようでもあるが,ここが鈴木氏の言うように蛇紋岩な のかどうか。餅は餅屋だから,ここは地質図に従っておくべきだろう。すなわち蛇紋岩の低地ではない,と。
 
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