16.0.23 鷹巣盆地南西のケスタ列【秋田県:北秋田市】               

めがね使用16-0-23図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p888。第16章図16.0.23薄い硬岩層のケスタ列(2.5万図「米内沢」より)

秋田県の北部。本文掲載の地図を見て地形が読みとれるだろうか。どこが尾根でどこが谷か,分水嶺はどこか,等高線だけではずいぶん分かりにくい地形であ る。こんな時こそ立体地図,というわけで左図。さすが立体地図である。図のX地点からY地点にかけて顕著な尾根(というべき?それとも急斜面?)地形と, そのすぐ西側の窪地状の(?)谷地形,そしてさらに西のゆるい分水嶺,そしてX-Yの東の谷密度が高く急斜面の多い地域(A〜Dの注記付近だけ顕著に別) など,地形のこまごました部分まではっきり認識できる。しかもX-Yの東面は地層面ではないかと容易に想像できる。ケスタ地形が明瞭で,図の表題に納得 だ。
しかし本文では紙地図しか載せられないので,地形の説明にはずいぶん苦労されている。たとえばA〜D4本の支流の「源流部はスプーンでえぐったように浅 く,求心状河系で円形の谷である。その円形谷の下流には標高点311で代表されるように,西へ『く』の字のように張り出す平面形をもち,西面に急崖,東面 に相対的に緩傾斜で平滑な斜面をそれぞれもつ非対称の支山稜が,流域界を横断するように,2〜3列並走している(例:三角点262.0の北)」という説明 がある。円形谷はわかるが,非対称山稜の説明が紙地図だけでは分かりづらい。それがどうだ,立体地図を見ながらこの文章を読むと一目瞭然だ。「(2〜)3 列並走」まですぐに見つけられる(よくぞ3列を紙地図から読みとったものと感心することしきり←おそらく米軍航空写真あたりを読んだ上での解説だろう)。 ケスタ地形とそこから予想される地層の走向傾斜のこと,背斜が存在すること,また西側の緩い地形は地すべりに関係することなどは本文に説明されているので ゆっくりとご覧あれ。ところで左上図を作成するときに図の北西隅の長鞍山も顕著なケスタをなしていることに気づいた。 
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