15.5.28 堰止湖の決壊【大分県:日田市】

めがね使用15-5-28-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p842。第15章図15.2.28地すべり堆の堰止による天然ダムの決壊(2.5万図「豊後大野」より)


大分県西部,福岡との県境に近いところ。北流する大きな川は筑後川上流部の大山川。烏宿山の東面,小切畑〜野瀬部一帯は地すべり地形。その末端で大山川の 谷底幅が異常に狭いのは地すべりによる押し出しが原因であろう。右岸東大山の河岸段丘面には標高209の緩い高まりがある。この高まりはその北東の半円状 急崖を滑落崖とする地すべり堆と考えるのが素直だが,小切畑から野瀬部に至る地すべり堆が大山川を突っ切って堰き止めたあと(天然ダムが決壊して)取り残 された部分という見方も可能。なお,大山川の河床に描かれている多数の転石(2.5万図に表現されるのだから,普通に言う転石の何十倍も大きいと思われ る)がこの付近に限られているのは,天然ダムの決壊と地すべり堆の切断という推論を支持するであろうという。この転石群には驚かされた。こんなのは地図に 親しんでいる自分にとっても初見である。

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