15.5.20 早川沿いの地すべり地形【新潟県:糸魚川市】

めがね使用15-5-20-3D図(5m)
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p834。第15章図15.5.20少凹凸型の地すべり地形と不動域(2.5万図「梶屋敷」より)

新潟県の西部。早川右岸の緩斜面は「水田が多く,等高線に微細な屈曲が多いのに谷線を描くのが困難」「小突起や凹地がない」などの特徴をもち,全域が少凹 凸型地すべり地形の集合である。不動山を含めた北部の急傾斜山地は「古い火山岩で構成され,不動山はそれに関連した岩頸または古い溶岩円頂丘の差別侵蝕で 再露出したものであろう」。その火山岩の下位に「傾斜変換線を不整合面として軟岩層が存在するので,地すべり地帯が形成されたと解される」 。一方,左岸 の谷根川左岸には,高谷根東方の弧状の急崖を主滑落崖とする,小突起と凹地および露岩に富む(水田や池沼はない),高谷根から早川に至る全体凹凸型の地す べり地形がある。この「滑落崖をもつ丘陵も多数の突起をもち,南方の山地(図外)から滑動した古い地すべり堆と解される」。というわけで,図は南側を広く とってある。赤枠の南側の横線(東西方向)付近がその古い地すべりの滑落崖のように見える。

15-5-20-段彩図
赤青めがねは使用しない

実はもっと南にも不思議な緩斜面が広がっていることを左図に示す。等高 線と段彩だけでは分かりにくいので,立体視画像とした。赤枠南の横線より南南東に拡がる大きな緩斜面(まわりが谷なので台地状に残っている)自体が地すべ り地なのでは? この大きさからみてすべり面は深さ50〜100mにもなるだろうか,という物凄さ。

困った時の地すべり地形分布図(防災技科研)! で,見てみると案の定,ずっと南の方まで地すべり地とみなしている。もっとも深さ100mにもなろうかという大規模地すべりではなく,普通の感じの(大規 模すべりの2次滑りのような)ものだが。それにしてもこの山深いところから地すべりが始まっているとしたら,早川に達するまでに3段ないし4段の大きな段 差(滑落崖)をもつことになる。すごいところだ。

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