15.5.19 中津川沿いの地すべり地形【新潟県:津南町】

めがね使用15-5-19-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p833。第15章図15.5.19末端凹凸型の地すべり地形(2.5万図「赤沢」より)

新潟県南部,長野県境にも近いところ。鈴木氏によれば東西の台地は火山原面(溶岩流原)で,中津川が200mも下刻して箱状谷を形成している。ただし20 万分1シームレス地質図(産業総合技術研)では,左岸は安山岩類,右岸の南部も同じで,右岸の北部は高位段丘と現成堆積物とする。さて本文。「図中央の太 田新田付近は笹葉峰を冠頂とするU字形の主滑落崖(・・省略・・)に囲まれた地すべり堆である」。上方から高度750mまでが主滑落崖,高度560mまで が多数の露岩散在する崖錐,高度500mまでが水田の発達する麓屑面,太田新田の平坦地,そして大規模な凹凸帯と配列し,「その前面は中津川の穿入蛇行の 谷壁斜面となっている。つまりこの地区は末端凹凸型の地すべり地形の好例である」。この地すべりは中津川を堰止めたであろうが,「中津川が左岸の谷壁斜面 の基部を流れているので,その天然ダムの満水面は地すべり堆の現在の最低所(高度約525m)より低かったのであろう」。最初はこの文章の意味がとれな かったが何のことはない,満水しても地すべり堆を突っ切って流れたりしなかっただろうというだけのこと。解説の最後に,地すべり堆の末端が反里口の学校付 近に達していることから,「落下域と定着域が明瞭に分離していることは,この地すべりが短時間にかなり急速に滑動したことを示唆する」と述べている。
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