15.5.13 浅草岳沼の平の地すべり地形【福島県:只見町】

めがね使用15-5-13-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p828。第15章図15.5.13頂部凹凸型の地すべり地形(2.5万図「守門岳」「只見」より)

福島県の西端,新潟県との県境に近いところ。沼の平は浅草岳の北東3.5kmにある窪地。沼の平西方の東に開いたU字形の崖(猿崖)を滑落崖とする全体凹 凸型の地すべり地形が目立つ。ほかに平石山から南西に続く平尾根の北西斜面は,古い膨出型地すべりの可能性あり(頂部の崖,高度950m付近の遷緩線,左 右の斜流谷などから)。平石山から北へ続く稜線の西側(小三本沢へいたるまで)も地すべり地形。大小の三本沢が叶津川に合流する付近の小起伏地は,叶津川 の谷底平野の狭窄部で,これより上流の谷底低地は「異常に幅広く,支谷にも入り組んでいるので,堆積低地であ」り,沼の平の地すべりや小三本沢に沿う地す べりの末端が「叶津川の谷底に達し,天然ダムとなって叶津川を堰き止めたと解される」。なるほど,納得。ただし「平石山から南西に拡がる山頂平坦面はその 周囲を急崖で囲まれ,急崖下に露岩がほぼ水平に分布しており(例:すだれ岩),しかも平石山という地名からみて,水平方向の割れ目の卓越した,ほぼ水平の 厚い硬岩層で構成されていると推論される」などは,読図だけからどこまで確からしいのであろうか。作業仮説をたてることは現地調査する際に必要なことだろ うけれども。露岩の水平分布も指摘されて初めて気付かされたことであり,読図のするどさはには完全に帽子を脱ぐが・・・・。
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