15.5.10 十二湖の地すべり地形【青森県:深浦町】

めがね使用15-5-10-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p826。第15章図15.5.10全体凹凸型の地すべり地形(2.5万図「十二湖」より)

青森県南西部。この図の左端から数百mで日本海となる。本文では「・・・湖沼地域の東方には,標高点694を中心に西方に円弧状に開いた,比高約400m におよぶ急崖があり,その上方には山腹斜面が続いている。したがって,湖沼地域はこの急崖を主滑落崖とする全体凹凸型の地すべり地形であると解される」と し,地形的な特徴をいくつか述べた上で「山地の急斜面で落差400mにおよぶ地すべりが発生し,地すべり堆が丘陵の上に定着して,多くの湖沼と小突起をも つ全体凹凸型の地すべり地形を生じた」としている。

 20万分の1シームレス地質図(産業技術総合研)によると,東部の急峻な尾根は新第三紀の玄武岩・安山岩類,中央から西はそれより少し新しい 新第三紀のデーサイト・流紋岩類ということである(凝灰岩と火成岩を区別してない。たぶん凝灰岩)。また『日本被害地震総覧』(宇佐美龍夫)によれば, 1704年能代地震のときに「八森から北方深浦に至る海岸も被害多く,とくに山崩れが多かった。崩れ山の崩壊は谷を埋め,今日十二湖として知られている大 小多数の湖を生じた」(崩れ山は図東端の崩山だろう)。地すべりというより巨大山崩れ跡のほうがしっくりくる。
 本文の2.5万図を一見すると,十二湖を中心に巨大な凹地があるかのような印象をもったが,3D図で北や南は大きな尾根で囲まれていないことがよくわかる。やはり立体地形図はシロウトにはありがたい。
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