15.4.8b 尾根先端部の巨大崩壊地形【福井県:大野市】


めがね使用15-4-8b-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p809。第15章図15.4.8a尾根先端部の巨大崩壊地形とその背後の腕曲状河系(2.5万図「荒島岳」より)

図15.4.8aのすぐ東に続く部分。本文を引用。「九頭竜川左岸には,小荒島岳から三角点1040.3に続く尾根を切断するように,半円形の尾根とその 北面の急斜面がある。その尾根を囲むように腕曲状河系が三角点1040.3から東西にのびている。」また「西勝原第三発電所付近の谷と対をなす谷が[崩壊 斜面の西側の]標高点623の西側にある。」これに九頭竜川出口の小丘が群在する台地の存在事実と併せ考えると,「上記の半円形の急斜面を崩落崖として, 尾根先端部が巨大崩壊し,九頭竜川に天然ダムを形成し,満水状態に近い状態で(多量の水を含んだ後に【原注】)急激に決壊し,偶然にもそれが谷口直上流部 で起こったので,超大規模な土石流が発生し,谷口から低地に直進し,イチョウの葉のように広がり,塚野原台地[仮称]を形成したと解される。」となる。な るほど。しかし小丘とこの大崩壊を結び付ける根拠が記されていないなあ,と思う。九頭竜川上流には他に崩壊地がないのだろうか。それにしても今でいう凄ま じいまでの「深層崩壊」である。

 ただしシームレス地質図(産業総合技術研究所)では,図15.4.8aの台地を第四紀の火砕流堆積物が覆っているとしている。崩壊地は第三紀中新世の玄武岩・安山岩・斑レイ岩のようだから,決め手に欠ける。さあどっちが正しい?
地質図Navi5万分1荒島岳(1958)では稲郷(とうごう)層の礫砂粘土としており,これだけでは分からない。
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