15.4.6 姫川沿いの大規模崩落と崩落堆【新潟県:糸魚川市】

めがね使用15-4-6-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p806。第15章図15.4.6大規模な基盤崩落と崩落錐(2.5万図「越後平岩」「雨飾山」より)


姫川と蒲原沢が県境となっていて,東が長野県,西が新潟県。以下本文要約。葛葉峠(糸魚川市の注記のすぐ西)の東に姫川の谷底を堰き止めるような高まりが あり,顕著な谷底幅異常が見られる。この右岸には標高点1123の西に深くて幅広い谷があり,その谷頭および谷壁には3段の露岩が水平に伸びている。よっ てこの高まりは姫川の穿入蛇行の攻撃部で発生した大規模な基盤崩落による崩落錐であり,天然ダムを形成したであろう。このダム天端の最低所は崩落錐の末端 (葛葉峠)ではなく,標高点443の東方にあったので,そこで下刻が進み峡谷を生じた。峡谷の左岸谷壁が「がけ(岩)」であることは,崩落物質が硬岩の大 岩塊を含み,あまり破砕されていないことを示唆する。蒲原沢の谷口(国堺橋)から下流左岸には,少なくとも3段の収斂交叉型の沖積錐が発達し,蒲原沢では 長期的に土石流が多発していることを示す。以上要約終わり。

  この蒲原沢では1996年12月,標高1300m付近の崩壊(図の2か所のがけ記号だろう)が引き金となって土石流が発生し砂防工事現場を直撃,14人が亡くなった。
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