15.4.10 青薙山付近の巨大崩落地と二重山稜【静岡県:静岡市葵区】
15-4-10-3D図
鈴木隆介著『建設技術者のための地形図読図入門』(古今書院)第3巻p810。第15章図15.4.10巨大崩落地と二重山稜(2.5万図「上河内岳」より)

南アルプス南部。大井川の上流部で,水面は畑薙湖。本文を転載する。”大井川左岸の山腹斜面に赤崩,ボッチ薙および枯木戸滝の上流域に大規模な崩落地があ る。そこでは落石や小規模な崩落,それらに由来する土石流が頻発していることが,多数の露岩や谷口の新鮮な沖積錐の発達を論拠に推論される。これらの崩落 地の背後の主尾根(標高点2014付近から南西にのびる尾根)には凹地を含む二重山稜が発達している。その西面斜面は池ノ平付近まで小起伏面で,そこには 直線的ないし主尾根側に凹んだ形の並流谷や遷緩線が少なくとも6列みられる。それらは斜面内部に剪断面ががあって,それが地表に現れた断裂線である。大井 川右岸を無視して左岸斜面だけについて谷埋幅1kmの埋積接峰面図を描くと,赤崩と枯木戸滝の谷との間が尾根状に突出している。よって,両者またはその間 の侵蝕谷の下刻が進むと,この尾根が大規模に崩落し,大井川を堰止めるばかりでなく,ダム湖に流入して大規模災害を起こすという可能性を否定できない。”

 2.5万図で想像する以上に赤崩の崩壊が深いこと。一気に崩れる大きな崩壊ではなく,谷筋の崩壊・崩落が中心のように見えること。ボッチ薙の 沖積錐の大きさ・広がり。二重山稜(二重ならぬ五重,六重?山稜)と小起伏面,その下方の段差地形。いずれにも目をみはる思い。最近話題にされる「深層崩 壊」とはまた少し違うのかな。最後の記述は深層崩壊のことかな。
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